変形性股関節症は治りますか?

目次

  • 1 変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと
  • 2 変形性股関節症になったら気をつけることとは?
    • 2.1 股関節への負担を減らす
    • 2.2 股関節を安静に保つ
    • 2.3 ゆっくり歩き/長時間歩かない
    • 2.4 変形性股関節症は軽度の運動でも気をつける
      • 2.4.1 15分以上の運動は控える
      • 2.4.2 痛みを感じるような運動は控える
      • 2.4.3 肥満を解消する
    • 2.5 股関節の負担が掛からないよう体重を管理し、肥満を防ぐ
    • 2.6 無理に股関節を動かさない
  • 3 変形性股関節症の悪化|家族が気をつけること
    • 3.1 重いものを持たなくて済むようにサポートする
    • 3.2 痛みの管理をサポートする
    • 3.3 精神面でも支えになる
  • 4 変形性股関節症の悪化|治療で気をつけること
    • 4.1 本人や家族が満足、納得できる医療機関を見つける
    • 4.2 意思や希望を主治医に伝える
  • 5 変形性股関節症に再生医療という選択肢もある!
    • 5.1 手術との違い
    • 5.2 再生医療の効果はいつまであるのか
  • 6 まとめ・変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと

変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと

変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないようにしたいものです。変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士がこすれあうことで炎症が起こり、痛みを伴う病気です。

悪化すると日常生活にも支障をきたします。今回は、この変形性股関節症を悪化させないために気をつけるべきことについて解説してまいります。

変形性股関節症は治りますか?

変形性股関節症になったら気をつけることとは?

変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、気をつけたいことがあります。

股関節への負担を減らす

変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も多くあります。しかし、股関節には日常の動作、つまり、歩いたり、階段を上ったり、座ったりといた動作が起こり、それだけでも股関節に負担がかかっています。

また、股関節の骨と骨の間に存在し、衝撃を吸収したり、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしている軟骨は、加齢だけでなく、関節を使うことで徐々にすり減ってしまいます。

そのため、変形性股関節症では、日常生活を工夫して、股関節への負担を減らすように気をつけることが大切です。

股関節を安静に保つ

荷物など、重いものを持つことを避けたり、腰をかがめる動作を減らすなど、股関節への負担を減らすことを意識して、安静に保つことで股関節への負担が減り、変形性股関節症の進行を遅らせることができます。

ゆっくり歩き/長時間歩かない

変形性股関節症と診断された場合は、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないようにゆっくり歩くことを意識してください。また、連続して長時間歩くことも避けるようにしましょう。自分の大丈夫だろうという意識を捨て、無理は禁物です。

変形性股関節症は軽度の運動でも気をつける

変形性股関節症の初期の治療では、軽度の運動が推奨されます。これは筋肉をつけることで股関節の動きをサポートし、股関節の位置を正しい位置に矯正することで痛みの緩和が期待できるからです。

ただし、変形性股関節症でありながら運動する場合には、軽度の運動であっても気をつけることがあります。

15分以上の運動は控える

15分以上の連続した運動は筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうので控えるようにしましょう。

痛みを感じるような運動は控える

早く治そうと無理することは禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうこともあるので無理のない範囲で運動するようにしましょう。

肥満を解消する

普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、変形性股関節症の人が気をつけることの1つとして、肥満解消や体重コントロールも挙げられます。

股関節の負担が掛からないよう体重を管理し、肥満を防ぐ

中高年になると身体の基礎代謝が落ちてまいります。そのため、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。

体重は、股関節へ直接負荷をかけることになるため、注意しなければなりません。体重は、けして切り離せないだけに留意すべき大切な要素です。

変形性股関節症において食事で気をつけたいことは、とにかく食べ過ぎないことと、栄養バランスよく食べることです。夕食は、寝る2~3時間以上前には済ませるようにしましょう。暴飲暴食は厳禁です。

また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防ぐことができます。食事内容のバランスにも気をつけましょう。脂っこい食事を避けて緑黄色野菜を多めに摂る、筋肉の基となるたんぱく質も意識して食べるようにしましょう。

無理に股関節を動かさない

変形性股関節症では適度な運動は推奨されますが、無理に股関節を動かすと、症状が悪化する可能性があります。激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。

変形性股関節症のリハビリは、関節への負担が少なくて済むウォーキングや水中歩行のようなスポーツをゆっくり行うなど、関節に無理をかけないように気をつけることが必要です。

変形性股関節症の悪化|家族が気をつけること

変形性股関節症と診断された場合に、その家族が気をつけることを以下にまとめました。どのようなことがあるのでしょうか。

重いものを持たなくて済むようにサポートする

重いものを持つと関節に負担がかかりやすくなります。また、重いものを持つために、腰をかがめる動作も股関節に負担がかかるため、変形性股関節症の場合に荷物を持つときには、できるだけ家族が持つなどのサポートが大切です。

痛みの管理をサポートする

変形性股関節症では、痛み止めなどの内服薬も処方されます。痛み止めは、副作用で胃が荒れてしまうこともあり、それを予防するための胃薬や湿布のような外用薬など、数種類の薬が処方されることもあるため、薬の管理をサポートしましょう。

また、どのようなときに痛みが出たり、ひどくなったりするかの記録をつけることで、痛みの管理ができるため、家族もいっしょになって記録を取る手伝いをしましょう。

これら変形性股関節症では、その個人だけではなく、周りの家族も思いやりと、協力で、症状の進行を遅らせ、痛みを改善させ、より快適に過ごすことができるのではないでしょうか。

精神面でも支えになる

変形性股関節症の人は、症状が進むと動いていなくても痛みを感じる場合があります。今までできていたことができなくなり、トイレに行くにも不自由になり、ストレスを感じるようになる人もいます。

ですから、変形性股関節症の人の家族は、日常的な生活のサポートだけでなく、精神的な支えにもなるように気をつけることが必要です。

変形性股関節症の悪化|治療で気をつけること

変形性股関節症の治療で気をつけることも確認しておきましょう。

本人や家族が満足、納得できる医療機関を見つける

変形性股関節症の治療では、「薬物治療」、「運動療法」、「手術療法」などさまざまな治療がおこなわれます。手術療法を行う場合は入院が必要になりますが、どうしても仕事が忙しく時間がとれないなどの理由で手術を希望しない人もいます。

また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が満足できる、納得できる医療機関を見つけて治療を受けることが必要です。

意思や希望を主治医に伝える

変形性股関節症の人は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望も伝えておけば良いでしょう。

なぜなら自分の望む治療がおこなわれないと、治療に対するモチベーションも下がってしまい、治療自体に影響が出ることもあります。

すぐに手術を受けたいのか、しばらくは薬で治療をしたいのか、飲み薬のほかに湿布薬や座薬も使いたいのかなど、医師にしっかり話をして、相談しながら治療をしていきましょう。

変形性股関節症に再生医療という選択肢もある!

変形性股関節症の治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。

そのため、変形性股関節症は、日常生活においても股関節に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを飲んで緩和しながら進行を遅らせるなど、精神面や痛みのコントロールもとても大変でした。

しかし、最近ではスポーツ選手なども選択している再生医療という治療方法が注目を浴びています。

手術との違い

変形性股関節症における痛みの原因は、関節の軟骨がすり減ることで発生しています。再生医療では、修復が不可能と言われている関節の軟骨を新たに再生させていく画期的な治療法です。

この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節のような大掛かりな手術を実施した場合には、少なからずリスクを伴います。代表的な合併症としては、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼などがありますが、再生医療においてはこれらの合併症が発生することはありません。

再生医療の効果はいつまであるのか

また、人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度と言われています。人工関節をすると、経年劣化による不具合により疼痛などが発生することがあり、日常生活に支障が出た時には、再手術が必要となる場合も少なくありません。

再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。しかも手術に伴う合併症のリスクを負うことなく、手術と同じ程度の治療成績が得られることからも、再生医療を選択するメリットは大きいと考えられます。

これまでの治療では効果が感じられず、手術を受けようかとお悩みの方、あるいはどうしても手術を受けたくないという方にとって、安全で治療効果の高い再生医療は新たな選択肢と言えるでしょう。

まとめ・変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいこと

変形性股関節症で症状を悪化させないために気をつけたいことをご紹介しました。

変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切で、安静や食生活の管理、適度な運動、また、家族のサポートも必要です。

これまでの変形性股関節症の治療では、痛み止めを服用して痛みを緩和し、手術をおこなう方法しかありませんでした。そのため症状の進行を抑える目的でリハビリを含め、生活上で注意すべきことが多々あります。

しかし、近年注目を浴びている再生医療は、変形性股関節症の治療の選択肢にすることができます。副作用が少なく、高い治療効果が期待できるので、治療方法を検討する際には、再生医療の選択もできるようになりました。

以上、変形性股関節症を悪化させないために気をつけたいことを記しました。

No.047

監修:医師 坂本貞範

変形性股関節症はどうしたら治るか?

変形性股関節症の対策と治療 変形性股関節症の治療は、温熱療法と運動療法、そして薬物療法が基本となります。 温めることで股関節の血行をよくし、筋肉をほぐして痛みをやわらげます。 慢性の痛みへの対策として効果的です。 ただし、急性の強い痛みがあるときは、炎症を起こしていることも考えられます。

変形性股関節症のウォーキングは?

ウォーキング 歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。 健康を目的とした歩行では、早歩きが推奨されることが一般的ですが、変形性股関節症の場合は違います。 歩行速度が上がるほど股関節へ衝撃が伝わりやすくなるほか、歩行フォームが乱れ、不安定な股関節にさらに負荷がかかります。

股関節手術のリスクは?

特に股関節手術は 大きな手術ですので、術中、術後に種々の合併症(心筋梗塞等の循 環系の合併症、無気肺などの呼吸器合併症、脳梗塞・脳出血等、あ る程度発生が予想されるもの、あるいは通常の手術では予想しにく いものを含め)が起こる可能性があります。

変形性股関節症の痛み止めは?

残念ながら根本的に治す薬はありませんが、炎症をおさえて痛みを軽減する為に「非ステロイド抗炎症薬」を使用することがあります。 一般的には内服薬を使いますが、外用薬や座薬を使うこともあります。 重度の痛みに対してオピオイドやデュロキセチンという薬が使われることもあります。