特定建設業許可とは『特定建設業許可』が必要なのは元請業者のみ特定建設業許可とは、発注者(建設工事の最初の注文者)から直接請負った1件の工事について、下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)以上となる建設工事を施工するときに必要となる許可です。 Show 但し、発注者から直接請負ったものでない限り、下請契約金額が4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)以上であっても『特定建設業許可』を受ける必要はありません。 つまり、1次下請業者がさらにその下請(2次下請業者)を出す場合は、契約金額に関わらず『特定建設業許可』を受ける必要はないということです。 同一の業種について一般と特定の両方を受けることはできません。 『特定建設業許可』の取得要件『特定建設業許可』の取得要件は、『一般建設業許可』よりも更に厳しい要件が課せられます。ここでは、一般建設業許可と違う要件箇所を説明します。 1、経営業務管理責任者がいること 2、専任技術者がいること 次の7つの業種(指定建設業)にて『特定建設業許可』を取得する場合は、専任技術者は1級の国家資格者、技術士の資格者でなければなりません。
上記以外の業種の場合は、専任技術者は1級の国家資格者、技術士の資格者又は元請工事で、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関して2年以上指導監督的な実務の経験を有するもの。 3、誠実性があること 4、財産的基盤があること 『特定建設業許可』を受ける場合は、次の4つの財産的要件に該当しなければなりません。
5、欠格要件に該当していないこと HOMEページへ戻る 知事許可と大臣許可とは 建設業許可にはいくつもの「種類」があります。今回は特に、一定金額以上の下請けを出す場合に必要となる「特定建設業」について、その内容と取得要件を説明していきます。 目次
特定建設業とは?建設業許可の一種である「特定建設業」とは、1件の建設工事につき4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を下請けに出そうとする建設業者(元請業者)に取得が義務付けられている許可資格です。 具体的に説明すると、発注者から1億円の工事を請け負った元請業者Aが下請業者Bに5,000万円の下請契約を結ぶ場合、Aは特定建設業の許可を取得しなければなりません。 一般建設業との違い建設業許可には「一般建設業」という種類もありますが、この一般建設業許可で4,000万円以上の工事を下請けに出すことはできません。 逆にいうと、受注した工事をすべて自社で施工する(下請けに出さない)のであれば一般建設業の許可で構わないということになります。 また下請けに出す工事の金額が4,000万円未満だったり、そもそも自社が下請業者の立場にある場合も一般建設業許可で差し支えありません。 特定建設業は追加で取得できるか?すでに一般建設業許可を受けている建設業者が、(全29種類のうち)別の業種で追加で特定建設業許可を取ることは可能です。たとえば塗装工事で一般建設業の許可を受けていても、防水工事の特定建設業許可を追加で取得できます。 ただし同一の業種で一般建設業許可と特定建設業許可の両方を取得することはできません。 金額についての考え方4,000万円(建築一式工事では6,000万円)という金額については注意が必要です。 たとえば1つの建設工事で2つ以上の下請工事を発注する場合、その「合計金額」が4,000万円以上になるかどうかが判断されます。 もし元請業者Aが2億円の工事を受注して、そこから下請業者Bに2,000万円、下請業者Cに1,000万円、下請業者Dに1,000万円の下請工事を発注する場合、合計金額が4,000万円となるため元請業者Aは特定建設業許可を取得しなければなりません。 一方で元請業者が下請業者に建設資材を提供する場合、その価格(市場価格や運搬費など)を4,000万円に含める必要はありません。 孫請けに出す場合特定建設業の許可が必要なのは「元請業者」です。下請業者は金額にかかわらず特定建設業許可を取得する必要はありません。 また元請業者Aから6,000万円の下請工事を受注した下請業者Bが、さらに下請業者Cに孫請工事を発注する場合も、「金額に関係なく」特定建設業許可は不要です。 特定建設業許可の取得要件特定建設業許可の取得要件は一般建設業許可よりも厳しめです。ここでは一般建設業許可の要件と対比しながら5つの要件について見ていきましょう。 関連記事:『建設業許可とは?取得要件や種類、申請の流れなどを解説します』 ①経営業務管理責任者の要件特定建設業許可(および一般建設業許可)を受ける「主たる営業所(本店など)」には、以下の条件を満たした「経営業務の管理責任者」が1名以上必要です。
※注1 工事の施工に必要な資金調達、技術者や技能者の配置、下請業者との契約締結などの業務経験のこと ②専任技術者の要件営業所ごとに1名以上設置する専任技術者については、特定建設業許可の方が一般建設業許可よりも要件が厳しくなっています。
(注1)国家資格の種類については国土交通省「営業所専任技術者となり得る国家資格等一覧」を参照 (注2)指導監督的な実務経験とは、建設工事の設計や施工の全般で工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験のこと (注3)特別認定講習と国土交通大臣が定める考査は、現在は実施されていない (注4)複数業種に係る実務経験については国土交通省「指定学科一覧」を参照 ③誠実性の要件誠実性の要件とは請負契約の際に不正や不誠実な行為をするおそれがない、あるいは法令に違反するようなことをしないという意味で、特定建設業許可と一般建設業許可で共通に求められています。 誠実性が求められるのは、
といった人たちです。 ④財産的基礎の要件財産的基礎の要件は、特定建設業許可の方が厳しくなっています。 建設業では労働者の賃金や資材・機材の購入費など、まとまった額の資金が必要です。このため建設業許可を受けるためには「一定以上の財産を持っていること」を証明しなくてはなりません。 具体的には以下のような要件を満たす必要があります。
このうち「欠損の額」とは、資本剰余金や利益剰余金、利益積立金などを「マイナスの繰越利益剰余金」が上回る場合に、その上回った額のことをいいます。 また「流動比率」とは流動負債(1年以内に返済する負債)の合計額のうち、流動資産(1年以内に現金化できる資産)が占める割合のことです。 ⑤欠格要件欠格要件に当てはまると特定建設業許可(および一般建設業許可)を取得できません。欠格要件は主に以下の通りです。
特定建設業者の義務特定建設業者には「9種類の義務」があります。
ちなみに一般建設業者の場合、上記の①〜⑥までが義務付けられています(⑥については「発注者から支払いがあった時から1か月以内」)。 まとめ特定建設業許可は「元請業者として」「4,000万円以上の下請契約を結ぶ」場合に必要な許可です。一般建設業許可と比べて許可要件が厳しいため、もし許可を受ける場合(許可が必要となる下請工事を発注する場合)は、十分に注意しながら申請準備を行うようにしましょう。 特定建築業の要件は?資本金が2,000万円以上であり、かつ、自己資本が4,000万円以上であること 特定建設業においては資本金の要件があり、2,000万円以上の資本金がある必要があります。 また、自己資本については、一般建設業においては500万円でしたが、特定建設業においては4,000万円以上なければなりません。
特定専任技術者の要件は?専任技術者の要件. 指定学科修了者で高卒後5年以上もしくは大卒後3年以上の実務の経験. 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験、もしくは専門学校卒業後3年以上実務の経験に加えて専門士か高度専門士の称号. 許可を受けようとする建設業に係る建設工事で10年以上実務の経験. 特定建設業の資本金要件は?新規設立会社など、開始貸借対照表により特定建設業許可申請を行う場合は、資本金が4,000万円以上(資本金2,000万円以上で、資本準備金との合算が4,000万円以上)である必要があります。
特定建設業のデメリットは?特定建設業許可を取得した建設業者には、次のように規制が強化されています。. 専任技術者や財産的基礎という建設業許可の要件がより厳しくなっている. 施工体制台帳と施工体系図を現場ごとに作成しなければならない. 下請代金の支払い期日や支払い方法についての制約がある. 下請業者の労賃不払いに対する立替払いをしなければならない. |